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RPGツクール 辻褄合わせの話し言葉 プレイ後の感想

 

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作品名

 辻褄合わせの話し言葉 (月読みの里 黒時 様)

 

作品概要

 時間軸のずれた世界で出会ったミヤとトウの繰り広げるSF作品。

ミヤのみが見える時計をトウが修理することで"ズレ"を直すことができ、二人は時計を直すため行動を共にする。

 

登場人物

 ミヤ・トウ・お母さん・お父さん・スズヤ・ハルカ・こっくり少女・絵描きお姉さん・柱のおじいさん・滝のおじさん・滝の少女・ターバンのお兄さん・占い師の女性・統制局長

 

所感

 下線を引いた部分はブログ後半のストーリーで詳しく書いています。

1周さっとプレイしただけの感想ですので、そのくらいのテンションで読んでいただけると助かります。

 

 スタートの第一印象としては、ミヤとトウの会話はいい意味でラノベの様だなと感じた。声優が面白おかしく掛け合っているのを想像すると楽しいと思う。

 

 外の世界に出たとき、部屋の中だけで話が展開すると勝手に思いこんでいたため、オープンワールドゲームに放り出された時のわくわく感があった。グラフィックは家の中同様に凝っており、一昔前(制作当時?)のノスタルジックな雰囲気が再現されている(町はズレによりめちゃくちゃだが)。また、ミヤにはお父さんに見えるが、トウにはドラム缶に見えるオブジェクトが配置されており、お父さんとミヤとの会話では、「お母さんを置いて出ていくのか」という厳格な父親の逆らえない一方的な圧力がピリッと走り、ミヤと父親の関係性が伺える。

 

 スズヤとハルカについては、正直モブキャラなのであまり思い入れはない。木箱にハマったハルカを閉じ込めてしまう芸は面白いと思った。スズヤとはできれば知り合いになりたくないなと思う。

 

 こっくり少女とミヤと母親について、こっくりさんをゲーム内で実際にやることでゲームの不気味さが香りづけされていて良いと思った。少女が言っていた「なれ合い程度の自分にとって都合のいい友達」とは、女子中高生特有の、女王とその取り巻きの構図を指していると思われ、こっくり少女はその輪に入れずにぼっちを拗らせてしまったのだと思う。

 

 絵描きのお姉さんは時計を見ることができ、かつ周囲の人間を操っているレアキャラクターである。その行動から用心深い性格であることが分かるが、言っていることはこっくり少女と同じである。

ここでは絵描きとトウの会話は成立しているが、絵描きとミヤの会話は成立していないので、”ズレ”た発言は受け手の問題であることが分かる。つまりお母さんやお父さんの”ズレ”た発言も、聞く人によってはまともに聞こえるかもしれないことが分かる

言葉が受け手の問題ならば、行動はどうなるのか。例えば、トウが不法侵入してきた時、上記よりお母さん自体はまともであるから、ズレて聞こえる言葉を発しながら、トウを家から追い出そうとするはずである。もっと言えば、ミヤとお母さんの間で会話がズレているのだから、お母さんはミヤを何とかしようと病院へ行くなりそれなりの対応をとるはずである。しかしお母さんはそうしなかった。つまり、受け手はその行動もズレて受け取ってしまうと推測できる。この様に、人間の言葉と行動がズレている時、何が起こっているのか?それは、並行世界の発生を意味していると考えられる。

(思い返すと、主人公二人はゲーム開始から異世界にいるのだが、上記の説は、この異世界を細分化した並行世界ということである)

仮に2つの並行世界が発生しているとすると、世界Aでは、お母さんはミヤを看病しながら、不法侵入者のトウを必死に追い出そうとしており、世界Bではわけのわからない言葉を発している、ということになる。

並行世界が発生している場合に問題となるのは、どの世界が正しいのか、だと思う。プレイヤーの視点ではいろいろな答えが出るが、エンタメ作品の中では往々にして主人公の望む世界が正しい、となっていることが多いと思う。今回はミヤとトウのいる並行世界が正しい世界である。

 

 占い師のお姉さんはトウと同じ時計を修理できる側の人間であるが、特に特徴はないので所感もない。

 

 壁ドンについては、ミヤの無意識なその行動から、森の赤い時計がミヤの心に直結していると考えられる。が、それ以上のことは分からない。この段階でミヤがトウに抱え込んでいるものを吐き出さなかったのは、それ程に自分を押し込めてしまう性格であることをよく表現していると思う。

 

 ヒント道ではハルカに「答えを出すのが遅い人もいる、答えが出るまで待ってあげると良い」という旨の助言をもらえる。これは、物語の終盤でエンディングの分岐にかかわってくるので、この作品がメインで伝えたい大切なことであると予想できる。現代社会の成果主義、効率主義に一石を投じる風刺とブレーキの作用を持った主題であると感じた。こういうメインテーマがある作品は時間をかけてやる価値があると感じた。

 

 バッドエンドについて、何も解決しなかったので、当然だが私は好きではない。ヒント道でのハルカのアドバイスを聞かなかったので当然の結果だと思った。

 

 ハッピーエンドについて、最後にトウが時計を修理できたのか分からない演出となっているのはドキドキして面白かった。トウの記憶を通過した結果ハッピーEDとなる理由としては、トウが今までの考え(主にスズヤに対して)を客観的に自覚した上で、ミヤと対峙したからだと思う。

 

 ノーマルエンドの場合は、トウが時計を直さずにミヤの話をまず聞いたのは、単にハルカが言っていたからで、自分の意志ではなかったところがハッピーEDの時とは異なっている。また、ノーマルEDではトウがミヤを覚えていない点がなんとも切なくて、個人的にハッピーEDより好きだった。異世界での出来事を全く覚えていないトウが、現実世界でどういう風にミヤと仲良くなっていくかは、想像を掻き立てられる。

 

総括

  細かいドットグラフィックや環境音等のBGMの雰囲気、物語の展開や細かい演出をひっくるめて、とても面白かった。特にミヤからの答えを待つ演出や、上記のノーマルエンドはお気に入り。

惜しい点は、スズヤ、こっくり少女、絵描きお姉さんのキャラがかぶっていた点である。お母さんだけはメールの演出があったので、どういった闇を抱えているのか分かり易くてよかった。各々の背景がもう少し濃ければ、物語の没入感が増したと思う。

 

ストーリー(ハッピーED)(完全ネタバレ)

スタート

 ミヤの自宅からスタートする。ミヤが壊れたテレビの様子を見ていると、突然トウが土足で家に上がり込んでくる。二人はどこかぎこちないやり取りを交わした後、ミヤはトウから、この世界が”ズレ”ている事、この世界にいくつか存在している”時計”を修理することによって”ズレ”を直すことができる事、トウは時計が見えないが、どこにあるかはなんとなく分かる事を知らされる。ミヤには時計が見えていることが分かったため、二人は行動を共にする事となる。

外の世界

 部屋から出ると、廊下やお風呂場にも時計があり、トウはそれを次々に直す。時計を直すとハウリングのような音が鳴る。家から出ると、道路が川になっていたり、父親がドラム缶に見えたり、木が銭湯に入っていたりと、明らかに現実とは言い難い世界になっている。

スズヤとハルカ

 銭湯街を進むと、トウの知り合いであると思われるスズヤに出会う。ミヤにはスズヤは野ウサギにしか見えないが、トウはスズヤがはぐれたと言うハルカを見つける約束をする。少し進むと、木箱の中にいるハルカを見つける。ハルカとスズヤは無事に合流し、二人は先に進む。

こっくり少女とミヤと母親

 銭湯街の突き当りにある家に入ると、ミヤにしか見えない少女が時計の前に立ちふさがっている。この少女は世界のズレに巻き込まれ、家から出られなくなったので、こっくりさんを実行して状況を打開しようとしたが、さらに身動きが取れなくなったという。二人はこっくりさんに帰ってもらうためにハルから借りた10円玉でもういちどこっくりさんを行うが、途中でトウの様子がおかしくなり、あたりが真っ暗になる。

 場面が変わり、ミヤの記憶の回想が始まる。ここではミヤの母親が近隣住民とのトラブルを抱えていることが読み取れるミヤとのメールのやり取りが行われる。

 場面が元に戻り、こっくりさんには帰ってもらえたことをトウから聞く。こっくり少女は時計から退き、トウが修理する。こっくり少女は孤独と群れのジレンマに苦しむ。

絵描きのお姉さん

 家の奥の扉を開くと、草原に時計が置かれていて、その前には先ほどとは違う少女が立っている。後に画面左にいるターバンのお兄さんに聞くところによると、この少女はこれまで時計が直せる人々を何人も追い返してきたらしい。少女は現実世界に帰る必要など無いと主張し、二人を追い返してきたが、トウは身をかわしてその隙に修理を行った。絵描きお姉さんは失望し、走り去る。

占い師の女性

 その先で謎解きを行い、ロープを上ると、フードを被った女性に出会う。この女性は時計が見え、かつ修理も行えるが、この場所から動けなくなってしまったらしい。トウは女性から報酬をもらう代わりに、各地の時計をすべて修理することを約束する。

傲慢者と臆病者と孤独者

 だまし絵をナイフで破り先に進むと、トウにはテレビに見え、ミヤにはお母さん、スズヤ、こっくり少女、絵描きがディスプレイされているように見える廊下に出る。四人はそれぞれ、赤・緑・青・緑の台座に座っており、廊下の端にある張り紙には赤緑青の順で傲慢・臆病・孤独であるという説明がある。

統制局長

 廊下の中央にはトウには初老の男性に見え、ミヤには時計に見える男性が立っている。男性は人間は突拍子もないことをしでかすと言い残した後に首を2回転させて自らを修理する。

壁ドン

 廊下を進むと、森のような場所に出る。最深部にはミヤの部屋にあった赤い時計と同じものがあり、トウはそれを直そうとするが、ミヤは無意識のうちにそれを止める。行動と言動が位置しないミヤはそのまま走り去ってしまい、トウはそれを追いかける。

ヒント道

 戻ると、来た道はなくなっており、ウサギの姿のスズヤがいる。正しければ何をしてもいいと思っていると説教される。次にこっくり少女がいる。隣には彼女が描いたであろう絵が飾ってあり、何をしても叩かれる、大多数に混ざった方が楽だと主張している。次に統制局長がいる。正しいつもりでも時と場合によっては間違いの時もあると主張している。次にコハルがいる。質問してもすぐに答えられない人もいると教えてくれる。次にお母さんがいる。ミヤのいる部屋の場所を教えてくれる。次に絵描きお姉さんがいる。話を聞いてもらいたかっただけだったと主張している。

トウの過去

 占い師の女から鍵をもらっていると、ミヤのいる部屋の隣の部屋を開けることができる。ここでは、トウとスズヤの過去を見ることができる。スズヤは人に迷惑をかけるのが嫌で、 自殺未遂を図ったことがあることが明かされる。部屋を出た後、トウは自責の念に駆られている。

ミヤの部屋

 お母さんに教えてもらったミヤの部屋に行くと、うずくまったミヤがいて、壁には赤い時計がかかっている。ミヤに話しかけると、無言が帰ってくる。しばらく待ってから話しかけると、ミヤは抱え込んでいた気持ちをトウに向かって吐き出す。さらにしばらくしてトウは時計の修理を始める。

ハッピーエンド

 占い師からの報酬のカギをもらい、ミヤの隣の部屋でトウとスズヤの過去を見て、ミヤにしばらく待ってから話しかけた場合、ハッピーエンドになる。最後の時計を直し終えたトウは元の世界の職場で目を覚ます。スズヤからの電話で呼び出されたトウは、ミヤの家の前でミヤと再会する。ミヤはすれ違いざまにまた会おうという内容のメモを落とし、トウが拾い上げる。

ノーマルエンド

 占い師からの報酬をもらわずに、ハッピーエンドと同じ行動をとった場合、ノーマルエンドとなる。ミヤは元の世界の部屋で目を覚まし、街に出る。トウと再会するが、トウにミヤとの記憶はない。

バッドエンド

 占い師からの報酬をもらわずに、ミヤに話しかける前に時計を修理した場合、バッドエンドとなる。ミヤとトウの間にもズレが発生し、終了する。

 

最後に

 ブログや作品の感想を書くのは初めてなのでつたない点も多かったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございます。ツイッチにてゲーム配信を行っていますので、所感に共感できた方はぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです。